インドなどの振興経済国の株が急落したときに、米ドルが買われる動きがありました。この米ドル買いは、リスク回避を目的としたドル買いの動きもあったようです。このような動きを質への逃避といいます。
質への逃避は、金融市場が混乱して先行きに不透明感が大きくなった場合に、投資家がリスクを避けてより安全で換金性の高い投資を行おうとすることなのです。
当時、日米欧そろって利上げ観測が広がり「資金が収縮するかもしれない」との思惑から、中南米やアジアの新興国などに分散されていた資金を一旦米ドルに換える動きが強まったのです。
その一方、中間決算期末を控えた米系ファンドなどのレパトリ(本国送金)に伴うドル買いが入っていたこともドルを支える要因となっていたようです。
一連の流れからわかるように、ドルの上昇は以下のような流れで起きたと考えることができます。
日米欧における利上げ継続観測
↓
株式・商品相場の急落
↓
投資家による株式・商品市場からの資金引き上げ
米系ファンドのレパトリ
↓
ドル買い
このように金融市場では一見別々の事象に見えることでも、相互に影響し合い、大きな流れを作るということがあるのです。ただ、この流れは永続的なものではありません。
決算期などの一定期間を過ぎれば終息します。他にも人民元改革や地政学的リスクなど、グローバルで多様な動きへの目配りも忘れてはいけません。
ラベル:FX
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